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ひとつはモダニズムの時代(昭和初期あたり)の興味深い両面性。つまり、一方で国家主義化していく戦争の予兆が忍び寄るなかで、ヨーロッパのシュルレアリスムやダダイズムなどの先鋭な芸術思想がほとんど共時的にしかも旺盛に入り込んでくる、いや摂取しようとするエネルギーがこの時代にあったということ。 もうひとつは、数知れぬ同人誌や名もわすれられた雑誌が少部数発刊され、それぞれが地方都市をも巻き込んだネットワークでつながっていたということ。一方でほぼ同時代的にフランスのシュルレアリスムと接点をもちながら、東京と長野や岡山や兵庫やといった地方都市とがモダニズムという一点でネットワークがあったという面白さ。 そうしたモダニズムの時代を象徴するような鳥羽茂の「ボン書店」の数々の本たち。この日は実際に、ボン書店の刊行した竹中郁「一匙の雲」(昭和7 年)といった小さな薄い詩集を見せてもらったが、実物はほんとうに小さな詩集。 9.5x12センチ、22ページの詩集である。見にくいが、本の写真の上から2番目が竹中の「一匙の雲」である。この同じ体裁、同じ写真を使って、写真のように4冊の詩集を出している。北園克衛、春山行夫、近藤東といった若いモダニズム詩人の名が並ぶ。 内山氏の話を聞きながら、湯川書房のことを思っていた。もちろん時代も出版をとりまく状況もまるきり違うけれども、「本」というものに対する思い入れの深さに、時代も状況もない。「本」というもののかたちとそれが醸す独特の空気、たたずまいは、その本の内容に入る以前に、それを手に取る人の心をすでに捉えている。ボン書店の本も湯川の本もそういう本だ。
by loggia52
| 2009-12-23 13:57
| 書物
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