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細見和之と山田兼士のお二人の対話で、出たばかりの話題の詩集、注目の詩集を俎上に、お互いが自分の読みを披露し、討議していくという内容。 詩集について、とりわけ出たばかりの詩集について、何か物をいうというのはなかなか難しい。くだんの詩集についての距離のとりかたや読み込みの妥当性など、難解な現代詩の場合はいっそうむずかしい。難しいから、こういう本はめったにあるものではない。 このような、できたての詩集を扱うお二人の対論は、従って、とても興味深く、こちらもいろいろな示唆を受けた。 何より、セレクトされた詩集に対する目配りが絶妙。入沢康夫の「かりのそらね」に始まって、話題になった辺見庸の「生首」、16年ぶりの詩集となる朝吹亮二の「まばゆいばかりの」。さらに和合亮一「詩の礫」、長田弘の「世界はうつくしいと」。また関西の詩人への目配りも忘れない。島田陽子「わたしが失ったのは」。高階杞一「雲の映る道」、四元康祐「言語ジャック」は、お二人の詩誌「びーぐる」の同人の詩集。おしまいは惜しくも先日亡くなられた杉山平一さんの「希望」。異色なのは中島みゆきの「真夜中の動物園」。 対象となったどの詩集においても、それまでの詩人の仕事の展望を確かめながら、今度の詩集についての位置や実験性や意図を明らかにしていく。率直な批判や疑問も、きちんとした裏打ちがなされていて納得させられる部分がほとんど。少し現代詩に興味を持ち始めていて、今一歩踏み込めないという人には、格好の読み物である。 ぼくが特に示唆をうけたのは、北川透「海の古文書」と岸田将幸「〈孤絶-角〉」。両詩集ともなかなか一筋縄ではいかない読みを要求される難解なものだが、それらの詩集に、本当に真正面から取り組んで、真摯に読み込んでいるお二人の姿勢に影響されて、読んでいるこちら側がその熱に感染して、いつの間にか息をとめて読んでいるのに気づくといった感じ。 もう一つ、この本の心遣いは、お二人が朗読するというかたちで、重要な詩についての引用がされていること。ピックアップされた詩を読みながら、論者の言うことを確かめることができるのはありがたい。 この読書の興奮は、幸いにも身体の検査には影響しなかったようで、無事に人間ドックは終了した。
by loggia52
| 2012-06-04 23:28
| 書物
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