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大阪南堀江の《ギャルリ プチボワ》で12月4日(月)から、柄澤齊の『方丈記』(1993年~1996年)と『植物の睡眠』(1995年~1996年)の二つの版画集の展示が始まる。これは、柄澤みずから代表作と言わしめた木口木版画集で、なかなかまとまって見ることはできない。 『方丈記』は言うまでもなく、鴨長明のテクストによる16点からなる連作。『方丈記』から引用された詩句のごときフレーズ、例えば「山は崩れて河を埋み 海は傾きて陸地をひたせり」とか「汝姿は聖人にて心は濁りに染めり」とかが、作品のタイトルになっているのだが、柄澤が引用すると、まるで文語訳の聖書のごとき詩性と精神性が付与されるかのようだ。方丈記の表現の抽象性もまたそれまでにない特徴だ。 『植物の睡眠』は詩人、岡田隆彦の19行詩19編のテキストとした詩画集。この版画集の完成後に岡田は急逝する。安東次男と駒井哲郎による詩画集『カランドリエ』や『人、それを呼んで反歌という』をふと思い浮かべるが、この岡田隆彦の詩がまたいいのだ。残念ながら、これら19編の詩は今なお、きちんと読むことはできない。 この二つの版画集は、なんと言っても、柄澤齊が最も《詩》《言葉》と接近したところで結ばれた作品であると言えるだろう。作品がテーマの細密な描写と表象であった、それまでに比して、作品そのものが詩句の言葉を体現した詩の象徴性を帯びている。描写というよりも、表現すること自体が精神性を帯びた営為となっているかのようだ。 技法的には柄澤がみずから編み出した《木口凹版》という手法も見所だと思う。その技法と作品に見られる詩的な余韻とのかかわりなど、興味がつきない。ぜひ、初日は彼も在廊しているはずだから、見に行きたい。 会期は12月4日(月)~12月16日(土)日曜休廊 11:00-18:30
by loggia52
| 2017-11-28 22:00
| 美術
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