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装幀家の間村俊一氏の第一句集。氏の俳句は「たまや」で拝見していたころから親近感を持っていた。
始まりは幼年をゆく鰯雲 裏山にかげろふを飼ふ女かな 悦樂園本日閉店初時雨 この句集をながめながら、句集の魅力はやはりそのタイポグラフィーにあるのではないかとあらためて思う。 正字、旧仮名。明朝、2号活字の活版。思わず、昆虫標本を観察するための10倍のルーペを、2号活字にあててのぞき込んだ。 目の粗い繊維質の紙にたっぷりとインクがしみこんで、繊維にそって活字の外にまで滲んでいる。こういう活版の物質感、2号活字の存在感が、氏のことばと呼応して、独特のポエジーを響かせている。 句集ばかりではない。詩集においても言えることだが、一冊の書物の結構をもふくめて、俳句であり、詩なのだ。そもそも、俳句や詩はことばの意匠であり、その意匠はそれを盛る器の意匠を要請するのは道理だろう。引用句三句目の、氏の装幀になる「塚本邦雄全集」に添えた句だが、こういう句が、明朝2号活字でページの中央にみずみずしいインクの色をふくんで匂いたつその姿は、やはり句集ならではの醍醐味にはちがいない。 ついでながら、間村氏を句作に導いた塚本邦雄の俳句のアンソロジー「百句燦々」は、一回り大きい1号活字が使われていた。それに、例の邦雄節の評がつく。何を隠そう、ぼくもこのアンソロジーを座右の書としている。この中で一番ぼくの気に入っている句は、 釘箱から夕がほの種出してくる 飴山實 飴山實らしからぬ句だが、それを引っ張り出してくる塚本邦雄という歌人はやはり普通の人ではない。 拙句を三つ。 醫院といふ舊字涼しき瑠璃の壜 人形や腸(はらわた)のなき秋の暮れ げんげ田に掘り出しものの少年や
by loggia52
| 2008-02-02 13:18
| 書物
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