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女子生徒たちに観察させるための 幼虫五十体を持ち運ぶ 週を越すために 膝に抱え 電車に乗り 持ち帰る さわさわと 暗い箱のなかで 葉を噛み砕いて ぽとぽとと 身体の末端から 糞を落としている くるしいだろう かさなったり よじれたり しているのを 蓋で抑えこみ 骨を抱くほどの姿勢で 座席に沈む 鳴かないから よいようなものの どのひとも どのひとも 見えないようにして 何を運んでいるのか 紙箱をふるわせる蠕動に じっと 気持ちを注いでいると うまくいくとか いかないとか なにもかも それでいい という気がしてくる 岬多可子さんの詩心というのは、日常的な風景が、不意にその時間と空間を異化されて、上も下も右も左もない不可思議な位相へとずらされてしまうところにある。この詩の場合は、四連目、「どのひとも どのひとも 見えないようにして 何を運んでいるのか」というところ。ここで、詩人の抱えている箱の虫は、ただの虫でなくなり、人のこころにすむ何ものかに変容していく。最終連は、もうひとひねりあってもいいのでは・・・というのは、ぼくのケレンの虫のつぶやき。 この号は、冒頭の伊藤悠子さんの「ろうそく町」もぼくごのみの作品。山口さんの「ありすがわの桜」もよかった。
by loggia52
| 2010-09-24 21:25
| 詩
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