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![]() さすがに吉野は遠い。初めての吉野詣でである。このあたりから熊野にいたる一帯は、修験道の聖地。山じたいはそんなに峻厳ではないが、この巨大な山門と豪壮な蔵王堂、そしてそこに秘仏として安置されている蔵王権現は、この霊性のありかを感じせしめてあまりある。 なんといっても、蔵王堂の本尊、蔵王権現の圧倒的な姿がともかくすごい。青黒い体色の鮮やかに残っているのは、秘仏として安置されていたからだろう。蔵王堂が安土桃山時代の建造物なので、この三尊もその頃の制作によるものらしい。いわゆる王朝的なもの、や伝統的な仏像彫刻からは遠い印象。むしろ漫画的表現というのか、デザイン的な面白さが強い。おそらく修験道信仰の広がりが、こうした巨大な独特のデザインを生み出したように思う。 しかし、そのような非宗教的な見方は、こうやって振り返ってみたときの印象であり、実際に蔵王堂に入り、信仰の空間にすっぽりと包まれて、小暗い空間に鎮座する蔵王権現は、有無を言わせぬ力をあたりに漂わせている。その日は、朝早くに参詣したので、普通は入れない所まであげていただいて、衝立でしきった空間に坐して、すぐ間近に三体の蔵王権現を見上げるという幸運に恵まれたのだが、やはり蔵王堂の空間の魔力と、蔵王権現像の劇的なポーズと、この鮮やかな黒みがかった独特の青い身体が、こちらの気持ちを異様に昂ぶらせた。しかし、それは蔵王権現の霊性によるのではない。 その時はあまり意識しなかったが、これは演劇的空間である。芝居小屋、もしくは初期の歌舞伎小屋の舞台にいるような感じだ。 信仰とはほど遠いぼくのような人間の印象だから、あまりあてにしてもらっても困るが、こうした演劇的要素とデザイン的な要素が、安土桃山期の修験道信仰と何かかかわりがあるのかもしれない。宗教も時代とともに変わりゆくものであるのは言うまでもない。 ![]() ![]()
by loggia52
| 2010-12-02 22:42
| 奈良
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