カテゴリ
全体 Loggia/ロッジア 『石目』について ぼくの本 詩集未収録作品集 詩 歌・句 書物 森・虫 水辺 field/播磨 野鳥 日録 音楽 美術 石の遺物 奈良 琵琶湖・近江 京都 その他の旅の記録 湯川書房 プラハ 切抜帖 その他 カナリス 言葉の森へ そばに置いておきたい本 未分類 以前の記事
2023年 11月 2023年 10月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 more... フォロー中のブログ
最新のコメント
メモ帳
ライフログ
検索
タグ
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
柄澤さんご夫妻を訪ねたおりは、いつも心づくしのお料理と深い味わいの幾種類かのワインに心がすぐにとろけて、自然と興がのって話はつきない。 彼は『黒富士』を、ぼくは『石目』を上梓したばかりだから、お互いの作品についての話題やら批評やらはもちろんだが、これからのおたがいの仕事の話、次の作品の話など、気がつけば宴は深更にまで及んでいた。すこぶる心地のいい時間をすごすことができた。 『黒富士』について、フランス文学者の中条省平氏が、新潮社の《波》の1月号に、刺激的な書評を書いておられるので、少し紹介を。 「驚愕の奇想小説です。」といきなりの書き出しで始まるのだが、氏がいかに胸を躍らせてこの小説を堪能したかが、書評の端々に見て取れるのがおもしろい。たとえば次のようなフレーズ。 「しかし、本作はミステリーというジャンルの規則を平然と踏みにじり、そのはるか先へ敢然と進んでいきます。そして、暴走に暴走を重ねるラスト数十ページに至って、これはもうファンタジーと呼ぶしかない想像力の大爆発をひき起こすのです。読者の驚き(というより唖然呆然)をそこなわないために、説明はここまでにとどめるほかはありません。ともかく、いまだかつてこんな奇妙に錯綜したイマジネーションの激発を見たことがないといっておきましょう。」 ほかにも、この小説の文体についても、興味をひく見解を述べておられる。 「この始まり(小説の冒頭の部分)はちょっと泉鏡花の『高野聖』を思わせます。鏡花よりは理の勝った剛直な文体ですが、ポエティックで一見閑雅な山中紀行のなかに、じんわりと重い不安をかもしだす手腕はじつにみごとです。『ロンド』(柄澤の処女作)以来、柄澤齊は、いま風のミステリーやファンタジーの趨勢に逆らう反時代的に稠密な文体を探求して、『黒富士』ではそれが不動の個性として身についたようです。」 あとは、《波》1月号で本文にあたっていただくことにして、さらにこの小説には様々な文学的な仕掛けが凝らされていることはこれまでにも書いたが、ぜひそちらのほうも、小説を読んで解き明かしてみてはいかが。
by loggia52
| 2014-01-15 22:42
| その他の旅の記録
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||