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![]() 山道にたくさんキイチゴの実がなっている。ジャムにするのにも十分な量は獲れるだろう。そのあたりは晩秋には、フユイチゴもそこらじゅうに実をつけて、さながらイチゴの野道である。 ![]() 賦覆盆子 法性寺入道殿下 夏来偏愛覆盆子 他事又無楽不窮 味似金丹旁感美 色分青草只呈紅 真珠萬顆周墻下 寒火一鑪孤盞中 酌酒言詩歌舞処 満盈珍物自愁空 大仰に漢詩の一編を写してみたが、返り点のほとんどない、そのまま読み下しても意味がとれるほどのもの。平安時代末期の摂政・関白に上り詰めた藤原忠通の七言律詩。首聯のみ試みに書き下してみる。 夏来たりて偏に愛づる覆盆子 他事又無く楽しみ窮まらず 「覆盆子」はイチゴの謂。むろん今、食用に供されるオランダイチゴの類は王朝時代にはないので、もっぱら野いちごのことを言うのだろう。「覆盆子」とは、無粋な命名だが、清少納言も「枕草子」で、「見るにことなることなきものの文字にかきてことごとしきもの」として、「いちご」「つゆくさ」・・・「くるみ」「いたどり」を挙げている。「覆盆子」「鴨頭草」・・・「胡桃」「虎杖」というように、漢字で記すと「ことごとし」く大仰になる。(それでも「つゆくさ」を「鴨頭草」とは座布団二枚!) それはともかく、忠通はよほどイチゴを好んでいたらしく見える。「偏に」とか「他事又無く」とか「楽しみ窮まらず」とは、漢文的な誇張を差し引いてもイチゴに目がなかったのだろう。青草の中に映えるイチゴの紅に、目の楽しみを見つけているのもいい。 大分で望月通陽さんの漢詩に題材をとった型染に浮かぶ《漢字》のかたちに、忘れがちな言葉の視覚的な味わいを呼び覚まされて、漢詩文を時折読むことにしている。ことに、写したようなこの白文の美しさはどうだろう。言葉の形(文字=漢字)を組み合わせて詩を作るという営為は、わが王朝の知識人には、どういう知的な感興を呼び覚ましたのだろう。そんなことを思う。
by loggia52
| 2015-05-29 18:46
| 言葉の森へ
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Comments(1)
湯川さんは、「ローマ字はよいけど、漢字がなぁ」とぼやいていましたが、一昨年、静岡へ「二見彰一全作品展」を拝見に行き、時間を利用して、望月さん宅へ、伺ったところ、「ふすま」に「見事な漢詩」が書かれ、『湯川72倶楽部」の塚本邦雄さんの歌に、付けた文字とは違って、見事な文字、泉下の湯川さんも、喜んでいると思った次第です
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