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![]() 受賞詩集は井上嘉明『宙づり』(詩誌「菱」の会)。 あまりマスコミではとりあげられない賞なので、少しでも広がってほしいと思って、ここに紹介します。 《富田砕花賞》は、平成2年に富田砕花生誕百年・芦屋市制施行50周年を記念して創設されたもの。今回は応募のあった89詩集 (平成27年7月から平成28年6月末日までに刊行された奥付のある詩集)から推薦委員が砕花賞の候補詩集を推薦し、選考委員がその中から受賞詩集を決定しました。受賞者には、賞状と副賞50万円が贈呈されます。砕花賞についての詳細はここをクリック。 なお受賞式は平成28年11月12日(土曜日)10時30分~ 芦屋市民センター401室で行われます。受賞式の際に、他の候補詩集をふくめて、選考の過程を選考委員が報告します。 受賞詩集のなかから一編を紹介しておきます。 包丁 井上嘉明 言葉に飢えると 台所に走りたくなる 砥石に ざんぶりと水をかけ わたしは包丁を研ぎ始める むかしは 鉛筆を十四、五本削るのに 肥後守を研げばよかったが いつの頃からか 血のにおいのする 重くて無骨な包丁に 変わっている 言葉は自然に生まれるものと 長い間 思っていたが 本当は えぐり出すもの 力づくで嘔吐させるものだった 言葉の血を錆びつかせぬためには けだものの肉を切り刻み ふっくらとした 魚の白い腹を ざくりと割っていた包丁のにおいを 嗅がねばならないのだった 呼吸をととのえながら研ぐ 喉元に 棘のようにささっていた 言葉の端っこが 少しずつ弛む気配がする 刃は意外にあたたかく 遠い記憶が残っている気がした どこか なつかしいような― わたしの内側の言葉は きっかけを待っていたかのように ぴくりと動き始める
by loggia52
| 2016-10-05 23:46
| 詩
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