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![]() 高橋悠治さんのピアノはいつも、一音一音が、今、ここに初めて打鍵される音。毎回新しい音。聴き慣れるということがない。どんな音が耳に届いてくるのか、いつもどきどきする。波多野さんの、細部に込められた言葉のニュアンスは、むろんぼくには説明はできないが、言葉はわからなくても、こちらに伝わってくる声の表情や思い入れの波動は胸をつよく打つ。孤独な、気が滅入るような詩ばかりがならぶが、二人のピアノと歌には、ほとばしるような清冽な魂のみなぎりがある。最後の「ハーディ・ガーディ弾き(辻音楽師 Der Leiermann)までくると、もうたまらなくなった。心打ち震えるような体験はぼくだけでなかったことは、演奏後の会場全体の熱い反応がよく物語っていた。 ミーハーな言い方で申し訳ないが、高橋悠治はかっこいいのだ。その譜面に見入る眼差し、指に込める力の微妙な加減とその流れと切断と飛躍と爆発と。演奏が終わって、波多野さんと並ぶと表情が一変する。さっきの、何かが取り憑いたような厳しい表情から、いたずらっぽい、はにかみ屋の少年になる。拍手を浴びる幸せに酔う以前に、なにか決まりが悪いような、早く舞台を降りたいというようなはじらいさえ見せる人間味もまたかっこいい。 ![]() 実はその日、思いがけない出会いがあった。演奏会が終わってロビーに出てこられた高橋悠治さんが、ひとりの詩人をぼくに紹介してくださった。その方の名前は伏せておきたいが、この場所にいらっしゃることそのものが信じられないような詩人だったので、思わず感激してしまった。打ち上げは茶屋町の居酒屋で。《風ぐるま》のメンバーの栃尾克樹さん、悠治さんの盟友でもある作曲家の小杉武久さん、それにコンサートのお世話をなさった仙波さんたち、それからさっき紹介された詩人と。その詩人からも、二人の『冬の旅』に深く心動かされた感慨を聞いた。お世辞などは蛇蝎のように嫌う詩人の言葉だからよけいに胸にしみた。それとともに、『冬の旅』の孤立と孤独が、その詩人の存在と重なるように思えた。酒宴は深更に及んだ。もうすぐ一年が過ぎるが、記憶すべき一晩だった。 (このあと、来年に入って1月8日に東京、同月23日に福岡、2月11日に愛知で、お二人の《冬の旅》が聞けます。ぜひ)
by loggia52
| 2017-10-19 22:52
| 音楽
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