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高柳のことについて、もう少し。
彼は、第2詩集を湯川書房から出すことを夢見ていた。それほど「あの湯川書房」という強い憧れを抱いていたのである。高柳を湯川さんに紹介したのが柄澤齊である。 大学入学以前から、高柳は柄澤の宇宙的な木口木版の闇に浮かぶ影像を偏愛していた。高柳が処女詩集「アリスランド」(沖積舎刊)を上梓するとき、是非とも柄澤の作品で表紙を飾りたいと思っていた。何の面識もない版画家にその旨の手紙を書くと、柄澤は高柳の作品を一読して、作品の使用を許可するのみか、装幀をも買って出たのである。 そんな経緯があっての第2詩集「卵宇宙・水晶宮・博物誌」である。函に柄澤齊がこの詩集のために制作した木口木版画が配されている。この函について、湯川さんらしいエピソオドがある。この詩集の赤い函は、実は初めは青い函だった。できあがった函の印刷の具合が気に入らなくて、後で新たにつくった今の赤函に全冊とりかえることになったのである。だから何冊か、青い函の詩集が流布しているはずである。なお、この詩集は亡き父君と柄澤齊に捧げられている。 「卵宇宙・水晶宮・博物誌」は、第33回H氏賞を受賞した。その知らせはちょうど、彼が大阪のプチフォルムという画廊で柄澤氏やぼくなどと一緒にいたときに入った。まさかとれるとは思っていなかったようで、名古屋の彼の自宅から受賞の知らせが入った時は、みんなで大いにもりあがった。 この受賞を記念して、湯川さんは新装版をつくった。柄澤さんが表紙を担当したのは言うまでもない。実は、この詩集には、まだもう一点、蝶の展翅標本ふうの木口木版画の表紙にくるまれた詩集を、標本箱に模して、硝子を嵌めた白い木枠に收めた限定版がある。異装の青函を含めると、4種類の「卵宇宙・水晶宮・博物誌」が存在するというわけである。
by loggia52
| 2009-05-04 07:47
| 書物
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