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このオマージュは、静岡の画廊「VOYANT」での柄澤齊の個展で催された詩の朗読会の冊子のために書かれたもの(写真左)。「湯川書房・湯川成一の仕事」にも、 1985年制作とある冊子。柄澤氏の木口木版画が口絵に添えられ、この詩と高柳誠の「樹木の夢」という、これも柄澤さんへのオマージュの2編が收められている。この画廊を拠点に静岡へ頻繁に通う時代があった。いわば「静岡時代」とでも呼ぶべき揺籃のひとときだった。この時代については、またいつか書こうと思う。(画像をクリックすると大きく映ります) 彼については、もうこのブログでも紹介したことがあるので控えるが、ひとつだけ加えると、ぼくの音楽生活は、彼の指南によるところが大きい。折りに触れておもしろいCDを教えてくれる。インマゼールのフォルテピアノの味わいも、シュタイアーの切れ味のある鍵盤のケレンと才気もヘンデルのダ・カーポ・アリアのめでたさも、みんな彼から届くたよりのおかげできくことができた。「大好きなバッハのパイプオルガンや、ヘンデルのダ・カーポ・アリアを聞けない人生など何の意味もないとさえ思う」と、あるエッセイで書いた柄澤さんである。 実はつい最近もおもしろい一枚を教えられた。英国のロック歌手、スティングがダウランドを歌っているCDである。これについてはまたあらためて。 俯瞰図のある肖像 柄澤齊に 弥終(いやはて) そのことぽが腐乱する一枚の俯瞰図を 忍ばせて あなたは迸(ほとばし)ることばの笞(むち)で彫(え)られた 碑文を呟きながら その男の貌(かお)を埋める樹の闇 を遍歴する 冥(くら)い森の彼方で響きあう二つの木 霊を撚って 鳥や帽子を 波や鏡面を 窓や書物を 紡ぎ それら盲(めしい)た光の慰撫にゆだねられたもの たちは 浅い眠りに縁どられたあなたの指の中 を回遊する 崩れる世界が徽よるその中心に向 かって 闇の中の闇に抗うその男のイリュージ ョンが 裏返しにされた俯瞰図に影を落として いる あなたは囚われた繭のように その影を呼 吸しながら 永遠に訪れることのない羽化の時 を 待ちつづける
by loggia52
| 2009-05-05 08:32
| 書物
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