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「魚」、「繭」、「蜂」、「蛇」など、明治初期の麻布に型染した作品で、空間に作品を垂らして鑑賞する。どこまでも静かな作品世界に、妖艶さ、いや妖気すらも醸しているこの「昆虫記」のシリーズは、今なおぼくのなかでは、彼の代表作であり続けている。 彼のえがくのはヒトではない、影法師のように、ヒトに寄り添うもの。日が陰れば、つましく身を隠し、日なたにでれば、そっと寄り添うように、ヒトが生きるという現象の影を望月はかたちにする。それは羽化し、孵化し、脱皮もする。ヒトに寄り添うものが平面から立ち上がったのが、彼のブロンズである。 なにか大切な記憶というのは、こういうかたちをしているのではないか。望月の型染の作品は、そう思わせるような、かたちの始原を思い出させてくれる。 「昆虫記」は彼の作品集「円周の羊」(新潮社刊)で見ることができるが、残念ながら今は重版未定になっていて手に入らないようだ。手に入るものでは、偕成社から出ている画文集「道に降りた散歩家」(ボローニア国際児童図書展ラガッツィ賞受賞)も、静かな本。フランドルのブリュッヘ(ブリュージュ)にしばらく滞在したおりの文、(というよりも詩であるが)、と絵(型染)。 「広場の石畳や鐘楼の壁を 庁舎の門や郵便ポストを 私の影と 影の私は 染みもつけず 指紋も残さず 時間のように過ぎて来た ヤン・ファン・アイクの銅像の 古びた影と交わりながら」 それから同じく画文集だが、「文」の方に強く魅かれる「方舟に積むものは」(筑摩書房)もおすすめである。これについてはまたいつかあらためて。
by loggia52
| 2009-05-16 21:24
| 美術
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